小唄徒然草5帖
都どり
都鳥 流れにつづく燈篭の
よるよる風の 涼み船
波の綾瀬の水清く 心隅田の舵枕。
雨やどり ~六下り
夕立ちに ひとり外見る 洗い髪
待つ人は来もせで 濡るる門口に
辛気な声や 雨やどり
雨宿り
作詞:菊村しづ / 作曲:永井ひろ
作り話に 夢を見て
明日まかせの 明け暮れが
暮らし上手に させました
すすき尾花が 招いた雨は
ひんやりほのかに せつなくて
肩よせあって 雨宿り
橋渡し
夕立の 晴れて染め出す水色の
空には虹の 橋渡し
見合い見交わす 船のうち
のぞく筑波も 笑い顔。
遠花火
暑さしのぎに 縁のはし
菊五郎格子の 揃いの袖が
互いに揺れてる 詰め将棋
ちょっと思案の 一こまに
まったをかけた 遠花火
水たまり~本調子
夕立の過ぎて遠のく雷さんに
ほっと見交わす顔と顔
雲間がくれに あい傘を
かわってさした お月さま
晴れて逢う夜は 足元そぞろ
月踏み砕く 水たまり
さてもやさしや雷殿は
本調子
さても優しや 雷殿は
ごろり ごろり ごろごろごろ仰山な
声をしやるげな おかし おかし
太鼓腰にひっ付けて 虎の皮の頬冠り
前に巾着ぶら下げて 雲のあいから長首だし
下をのぞいて 恥ずかしそうに
文はやりたし 飛脚はおらず
稲妻どのを使いにて お千代さま参る
雷(らい)よりと 見れば 娘も
びっくりし 臍をかゝへて
内に入る