小唄徒然草 35

前回の小唄 徒然草 34で、配信した深川花柳界を舞台にした小唄3題は、お楽しみ頂けましたでしょうか?
舞踊小唄で、3曲を舞台で演奏すると、演奏時間は15分くらいかかるので、小唄の会などでは長すぎる場合もあるので、その時は、小唄「夜遊び」の中に小唄「櫓下(やぐらした)」を入れて、9分くらいに短縮した曲を使います。
その短縮した舞踊小唄を、ご紹介します。
「深川七場所」について

では、、どうぞお聴きください。

小唄 夜遊び(伊東深水・詞)~櫓下(小林栄・詞)~夜遊び(伊東深水・詞)(9分)

歌詞内の(★印は、深川7花街) (▲印は、深川7花街付近にある地名)
夜遊びが 辰巳へしけて 天の川 猪牙の布団も 夜露に濡れて 
▲入舟町の 星明り ▲大島川に 揺らぐ日も 

~ここより 小唄 ★小唄「櫓下(やぐらした)」
恋の★仲町 小夜ふけて
辛気 ★新地の 遠あかり
かたい ★石場の 約束に
渡る ★土橋(どばし)の 風あらく
褄とる手元 ★裾継(すそつぎ)や
胸を ★佃の 八幡鐘に
心せわしく 忍び逢う
浮名は 立てじ 櫓下(やぐらした)

~ここまで 

~小唄「夜遊び」に戻る
なまめく 宵の ▲汐見橋 嬉しい首尾も 舵の端に かけし願いの つめ弾きは 
二人が仲の 忍び駒 遠く ▲洲崎の 漁火も いつしか 消えて
鵲の 渡せる橋も 影淡く 朝露やどす 牽牛か

《深川七場所関連の情報》

★もう一つ、深川七場を題材とした小唄

「仲町育ち」

賑わいや 浮名 辰巳の色里に 園女(そのめ)
      桜か 糸桜 根づく 自慢の一節は
    菊弥が種の 唄の花 素足に競う意地張り 
      縁も深川仲町の 八幡鐘のきぬぎぬ 
    アレ 聞いたよな あの声は 主が十八番(おはこ)の佃節

★★この深川を舞台にした歌舞伎「名月八幡祭」玉三郎(27歳)吉右衛門(33歳)歌舞伎座

★この芝居を題材とした小唄

小唄 仇情八幡祭

<歌詞>
賑わいの八幡祭  宵の口
浮名 辰巳の仲町で
命と腕に新の字の その言訳が縁の糸
越後縮の肌寒く 苦しき胸のうさ晴らす
酒に言わせる縁切りや
情けを仇の裏河岸に
男心の一筋は 走る自刃の稲妻に
露は尾花と寝たという
尾花は露と寝ぬという
アレ寝たという 寝ぬという
散る花あわれ撞(つ)き出(いだ)す
八幡鐘の声もかすかに