小唄徒然草 32 芝洲好みの小唄 パート3
7、夜遊び
小林栄 詞 春日とよ年 曲
夜遊びが 辰巳へしけて 天の川 猪牙の布団も 夜露に濡れて
入舟町の 星明り 大島川に 揺らぐ日も なまめく 宵の
汐見橋 嬉しい首尾も 舵の端に かけし願いの つめ弾きは
二人が仲の 忍び駒 遠く 洲崎の 漁火も いつしか 消えて
鵲(かささぎ)の 渡せる橋も 影淡く 朝露やどす 牽牛(けんぎゅう)か
解釈と鑑賞
[ 「深川七場所」 ]と呼ばれた深川周辺の岡場所での男女の逢瀬を唄った小唄
春日とよ栄芝師匠による舞踊小唄の名曲集。
『初詣』『通り雨』『夜遊び』の舞踊小唄『深川三題』の中のの一つ
※ 牽牛 牽牛は天の河を渡って愛する織女に会うという伝説
8、櫓下
小林栄・詞、春日とよ年・曲。昭和三十九年
本調子(替手三下り)
恋の仲町 小夜ふけて
辛気 新地の 遠あかり
かたい 石場の 約束に
渡る 土橋(どばし)の 風あらく
褄とる手元 裾継(すそつぎ)や
胸を 佃の 八幡鐘に
心せわしく 忍び逢う
浮名は 立てじ 櫓下(やぐらした)
解釈と鑑賞
「深川七場所」(https://kokontouzai.jp/archives/1667)と呼ばれた深川周辺の岡場所の名を織り込んだ小唄。
※ 深川七場所=仲町、新町、石場、土橋、裾継、佃、櫓下
9、落人の色香(梅川忠兵衛)
竹柴蟹助 詞 歌沢寅 曲
本調子
落人の色香の 色香隠せど 梅川が
凍える手先 ふところへ暖められつ 暖めつ
二十日(はつか)あまりに 四十両(しじゅうよう)
使い果し はたして 二分残る 忍ぶ
故郷(ふるさと)新口村(にのくちむら)
解釈と鑑賞
「冥途の飛脚」世話物 通称「梅川忠兵衛」
10、可愛お方
本調子
かわい お方を はるばると 田舎へ やって
案じられ おかわりないか 御無事なか
もし どうじゃいな どうじゃえ
あのな どうじゃいな