小唄徒然草 番外 歌舞伎1

小唄の世界では、歌舞伎や新派などを題材にした曲が沢山あります。
その曲と新派など芝居の場面を紹介します。

★ 今回の「小唄つれづれ草」は歌舞伎が題材となっている小唄集です。

歌舞伎 「梅雨小袖昔八丈〜髪結新三 」

小唄1.さつまさ(髪結新三)

髪結新三が花道から登場するところの下座音楽で使用

さつまさ こりゃさ アアア 
薩摩と 急いで 押せどエ

汐がさ こりゃさアアア
そこりで 艪が立来たる思いさ

月のさ こりゃさアアア
明かりで 書いたる 思いサ

闇にサ こりゃさアアア
隠れて 渡す 文エ

小唄2 髪結新三


目に青葉
山ほととぎす 初がつお
かつお かつお の売り声を
聞く 湯帰りの耳果報
さつまさ
コリャサ アアア

髷にさしたる房楊枝
浴衣の裾をかいどりて
髪結い新三は いい男

歌舞伎「権八小紫物」
「白井権八」と「小紫」を描いた歌舞伎狂言や浄瑠璃

その1

その2

その3

その4  

          

小唄3、散りかかる(権八)

市川三升作・草紙庵曲

散りかかる
浅黄桜や無常音
隙ゆく駒の路もはや
引かれ曲輪のなみだ橋
<三下り>
流す浮名も小紫
結ぶ夢さえ権八が
まどろむ駕籠の仲ノ町

歌舞伎「弁天娘女男白浪 「浜松屋見世先の場」

小唄 緋鹿の子

  
緋鹿の子の 手柄はくづれ富士額

三日月なりに紅さして 「誰だ」

名さえゆかりの弁天小僧 菊之助。

4.三千歳  
       

小唄4 三千歳


一日逢わねば千日の 思いも積もる
春の夜の 静かに更けて冴え返る
寒さをかこう袖屏風
入谷の寮の睦言も
淡き灯影に波打たす
隙間をもるる雪下ろし

歌舞伎 仮名手本忠臣蔵

小唄7 四条の橋

7段目四条の橋

四条の橋から灯が一つ見ゆる
あれは二軒茶屋の灯か
あれは二軒茶屋の灯か
円山の灯か そうじゃえ ウーイそうじゃいな

小唄8 おかる

仮名手本忠臣蔵7段目

花に遊ばば 祇園あたりの
色揃い わいわいの わいとな
こばれ松葉の かんざしゃ
風に吹かれて 酔(えい)ざまし
のべの鏡の 左文字

三十に
なるやならずで
逝く夫(つま)を
夢にも見すに 一重衣(いとえぎぬ)
ええこの重き くくり染め
やるせなや。

小唄9 定九郎

仮名手本忠臣蔵5段目定九郎

破(や)れ傘に
黒紋付や落し差し
半身かくせどかくされぬ
身の置き所 白波の
山崎街道 夜働き

稲積みの影の白刃に
与市兵衛
殺(あや)めて縞の金財布

貧すりや
どんと二つ玉
猪の身がわり
しょんかえ

歌舞伎 網模様灯籠菊桐(あみもようとうろのきくきり)「小猿七之助」
    歌舞伎狂言。世話物。5幕。河竹黙阿弥作。安政4年(1857)江戸市村座初演。
    七之助に犯され娼婦となった奥女中滝川と
    本能のままに動く七之助の悪事を描く。通称「小猿七之助」。

小唄10 木小屋

岡野知十詩 吉田草紙案曲

幾ふしの 木小屋の内の むしあつき 
まだもる雨の あとぬれて
しめるむしろを 女夫ござ 
ひきよせられて 手をかりの
枕近くに蚊のむれる 
はらうよしなき うすものの
裾の模様の乱れ草 戸のすきのぞくお月様

小唄12 浦こぐ舟

 岡野知十詩 吉田草紙案曲

夕立ちのすぎて涼しや白鷺の 片足あげて岸近く
風の前なる羽づくろい みだれみだれしよしあしの
いやじゃいやじゃは裏のうら 浦こぐ船のゆれごこち
女波と男波がうち上げてはまたうちおろす

【解説】 岡野知十詩 吉田草紙案曲

歌舞伎
「助六由縁江戸桜」1

「助六由縁江戸桜」2

「助六由縁江戸桜」3

出端「助六由縁江戸桜」4

「助六由縁江戸桜」5

助六由縁江戸桜 下 6 

助六由縁江戸桜 下 7 

助六由縁江戸桜 下 8 

       

小唄13  花の雲

川上渓介詞、宮川吟柳曲

花の雲鐘は上野か浅草か ゆかりの色の鉢巻も
江戸紫や伊達姿 堤八丁衣紋坂
大門くぐる助六に 煙管の雨が降るように

小唄14 春霞ひくや

平岡吟舟 作詞 作曲

春霞ひくや由縁(ゆかり)の 黒小袖
これもゆるしの色里へ 根ごして植えし江戸桜
松の刷毛先(はけさき) 透額(すきびたい)
東男(あずまおとこ)の出立は 間夫の名取の草の花

歌舞伎 め組の喧嘩

小唄15 小唄 辰五郎


東雲の櫓太鼓や初がすみ
曙匂う紫にかすむ 鳥居の
芝育ち 神の恵のかけまくも 
引くに引かれぬ意地づくは
散らす火花も神明で 
さかりを競う花の春。

歌舞伎 廓文章 吉田屋

小唄16 小唄 うらぶれし

 

うらぶれし
我が身ながらも
恥ずかしき
人目を包む編笠や
紙子一重の肌寒き
師走の風を袖屏風
ところ新町吉田屋の
門にしょんぼり
伊左衛門

小唄17 小唄 小唄 夕霧(冬編笠)


編笠に包む紙衣の文字の綾   
師走の風のしみじみと

可愛い男に逢坂の  
関より辛い世の習い

逢わずに去んではこの胸が  

済まぬ心の置炬燵

粋な取持ちようようと  
明けりゃ女夫の松飾り。

歌舞伎『三人吉三巴白浪』

小唄18 小唄 小唄 吉三節分

月も朧に白魚の かがりも かすむ 春の夜に
冷たい風も ほろ酔いの 心持ちよくうかうかと
うかれ烏のただ一羽 塒(ねぐら)へ帰る
川端で 棹の雫か 濡れてで粟
「御厄はらいましょう厄落とし」
ウム ほんに 今夜は 節分か
コイツア春から 縁起が いいわえ

歌舞伎「花街模様薊色縫」(さともようあざみのいろぬい)
通称「十六夜清心」

極楽寺の所化(僧侶)清心と遊女十六夜の心中物ですが、
二人は川に身を投げて心中しようとするのですが皮肉なことに二人とも助けられ・・・と
お芝居は以外な展開となってゆくのです。

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 1 

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 2 

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 3 

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 4 

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 5 

花街模様薊色縫 十六夜清心 高清 6 

小唄19 十六夜清心  

朧夜に星影淡く消え残る 鐘の響きも隅田川
弥陀を誓いし清心が 如鱗を珠数に百八つ
この夜で添われぬ二人が悪縁
「死のうと覚悟極めし上は」「少しも早う」
               
げにうたてなき恋菩提
浮名流して水しぶき